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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

ボーダーライン:麻薬戦争の得体の知れなさを的確に映像化した作品

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ボーダーライン(原題:SICARIO)は監督ドゥニ・ビルヌーブ、主演エミリー・ブラントのメキシコ麻薬戦争を題材にした犯罪サスペンス映画で、リアルなドキュメンタリー風の映像と、麻薬戦争というものの終わりの無さ、得体のしれなさというものを的確に映像化した作品。

ちなみに「ボーダーライン」の監督ドゥニ・ビルヌーブは「灼熱の魂(原題:Incendies)」「プリズナーズ」「複製された男(原題:Enemy)」などの作品を監督した人物で、「ブレードランナー」の続編の監督にも決定している。

構成がめちゃめちゃチャンとしている

本作「ボーダーライン」の主人公は一応エミリー・ブラント演じるケイトなのだが、常に進行する事態からは蚊帳の外に置かれている傍観者だという特殊な構成をとっていて、実質的な主人公はベニチオ・デル・トロ演じる謎の男アレアンドロと、ジョシュ・ブローリン演じる麻薬マフィア対策班のリーダーであるマットになっている。

この2人は演技もメチャメチャいい*1のだが、絵面的に非常に暑苦しいのも事実なのでそれに耐えられない人は注意されたい。

もちろんこの構成は意味の無いものではなくて、麻薬戦争というものの底の知れなさを表現するのに活用されており、それ以外にも全体的に「別に何も起こってないんだけど、何か嫌な感じがする」とか「別に普通の絵面なのだけど、何か不穏な感じがする」というような演出が突出して優れていて、麻薬戦争というテーマに対するアプローチとして成功を収めているといえる。

にもかかわらず内容が恐ろしくわかりやすい

この「ボーダーライン」の前述のとおり麻薬戦争の終わりの無さ、得体の知れなさという抽象的なものをリアルに表現しながらも、内容の分かりやすさを両立しているのが最大の美点で、正直この内容でこのわかりやすさは異常といえる。

ここにも構成の上手さが光っていて、実は起こる出来事がほとんどが「何か起こるとしたら国境付近だ」などとと主にアレハンドロによって予言されており、後に本当にそうなるというパターンを繰り返し利用していて、観客には先の事態が予想できるようになっている。

にも関わらずアレハンドロがあまりにも怪しい人物なので、予言が的中してもやっぱり衝撃を覚えるという実に無駄のない構成で、あまりにもそれがスムースに何事も無く進行されていくので、逆にとても普通なことを普通にやっているようにしか感じない人がいるかもしれない。


border-line.jp

*1:というかジョシュ・ブローリンはいつもの感じではある

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