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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

マネー・ショート 華麗なる大逆転:スコセッシ風ドキュメンタリータッチのブラックコメディ

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「マネー・ショート 華麗なる大逆転(原題:The Big Short)」はアダム・マッケイ監督、クリスチャン・ベール主演の実話を元にしたドキュメンタリータッチの作品で、第88回アカデミー賞脚色賞を受賞している。

ドキュメンタリータッチのため、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」には明確な主人公が存在せず、一応クリスチャン・ベール主演となっているが内容的にはスティーブ・カレル、ストーリー的にはライアン・ゴズリング*1が主人公ともいえる。

ちなみに「ショート」とは金融用語で”売り”のことであり、そのため「The Big Short」という映画と同名の原作は「世紀の空売り*2」という邦題になっているのだが、映画の方の邦題である「マネー・ショート 華麗なる大逆転」だともはや意味がよく分からないが気にしないように。

 マーティン・スコセッシ風ドキュメンタリータッチ

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」の最大の特徴は、マーティン・スコセッシ風ドキュメンタリータッチの構成で、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」や「グッド・フェローズ」にかなり酷似した内容で、特に「モーゲージ債」「CDS」などの金融商品の説明が、突然現れた料理人などによって料理の具材の例え話で説明されるなど非常にメタ的な作風になっている。

上記のような説明がなされるので、金融商品の知識が無くても話の流れについていけないということにはならないようになってはいるが、そもそもこれら金融商品は内容が意図的に分かりにくくされている上に、金融業界がやっていることが異常すぎる(普通に考えたらそんな商品売らない)ために常人の理解を拒むという、無意味な難解さが存在するために予備知識はあった方がいいし、原作を読んでからの方がより楽しめる作品になっていると思う。

理解を拒む主人公たちと物語

さて「マネー・ショート 華麗なる大逆転」の感想としては、演出や俳優は上手いし、映画化するのが非常に困難と思われる原作を整理して綺麗にまとめて映画化しており、だからこそ実際に第88回アカデミー賞で脚色賞を受賞してもいると思うのだが、それにしても弱点が多いな…というのが正直なところだった。

前述のとおり取り扱う金融商品と金融業界が理解を阻む上に、登場人物がイチイチ病的な感じでさらに内容に入り込みにくく、加えて盛り上がる箇所が全然ない上に、主犯格の銀行側の不正はたいして追及されるわけでもない。

しかも劇中で指摘される通り、実は主人公側は「不正を暴く」ことを目的にしているわけではなく、不正を利用して儲けようとしているという立場なので、何に焦点をあてたいのかがハッキリしない印象を受けてしまう。

もちろん、実話を元にしているので現実に不正はたいして追及されていないし、事態はそれからなにも改善していないのが現状なのでこの不条理感は必然ともいえる。

 

www.moneyshort.jp

*1:見た目がいつもと違うので、しばらく気が付かなかった

*2:マイケル・ルイス作、文藝春秋社刊

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