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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

天空の蜂:観客をイライラさせる演出の繰り返しに耐える強い心が試される映画

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「天空の蜂」は東野圭吾の同名小説*1を原作とした、江口洋介主演、堤幸彦監督の日本映画である。

いつもの日本映画の病理が炸裂する前半

この「天空の蜂」はジャンルとしては”社会派サスペンス映画”で、防衛庁が新規開発した軍用輸送ヘリ「ビッグB」が、「高速増殖炉もんじゅ」そのまんまの設定の、試験稼働中の新型原発「新陽」に遠隔操作されて飛んでいき、ヘリの燃料が切れる8時間以内に強奪犯の要求を受け入れなければ爆薬を搭載して「新陽」にそのまま墜落する、との脅迫を受ける…

という内容の映画なのだが、いつもの日本映画の病理が各所で炸裂している作品でもあり、具体的には

  • 家政婦は見たレベルの過剰にわかりやすく、くどい演出
  • 時間がないと言ってるのに、そもそも新型原発とか要らないんじゃないか?いや軍用ヘリだって要らないだろとか事件の解決には1ミリも役に立たないことで論議しだす登場人物たち
  • 悲劇的シーンでは、これでもかとスローモーションと悲しげな音楽を流しまくり、ストーリの流れや推進力を何度でもブッた切る

というあたりがよくある日本映画の病理で、他には「登場人物が本筋に全然関係のない良さげな話(でも内容は大体独善的)の演説を突然長時間にわたってしはじめる」というのもあるが、それに関しては本作は比較的大人しめというか、あるんだけどストーリーとの関連性が高いのでそこまでは気にならなかった。

簡単にいうと、恐ろしくノイズになる要素の多い映画で、いかに無駄なシーンを無かったことにして観れるかというリアルタイム脳内編集力を試される。

良いところも、もちろんあるよ

この内「ブッた切り演出」に関しては後半までも続き、これがラーメンだったらラーメン二郎などもはや素うどんに等しいと言って差し支えないレベルのしつこさなわけだけれども、それ以外についてはかなりマシになってくる。

そうなると後半がそれなりに良くなってきて、原作の良さや、終始結構ちゃんとしている画作りにも目が行くようになってくるし、また出演陣も一部疑問に思うものの「本木雅弘」と「綾野剛」は良くて出演者にはノイズになる要素が少なく、演出も凄く良いとはいわないけれども、繰り返される「ブッた切り」以外は、そんなにマズイという感じでもないことがわかってきて、それなりに楽しめる映画ではある。

じゃあ結局、どっちなのか

じゃあ結局良いのか悪いのか、というと良し悪しのバランスとしては、悪い要素の方が多いとは思う、しかもそれが開始早々から炸裂するのでどうしても印象が悪くなってしまうし、映画に入り込めなくなる。

そういう理由で年に100本映画観てます!という人ならともかく、何本かしか映画を見に行かないような人にはちょっとお勧めできない。

ただ個人的には凄く良いとか言わないけれど、そこまで悪しざまに罵るような内容でもないとは思うが、この駄目なポイント、特に「全編にわたって繰り返されるブッた切り演出」にはかなり生理的にイライラして耐え難い人が多いのも理解できる。

tenkunohachi.jp

*1:講談社文庫、本作の公開に合わせて新装版が発売されており、合わせて猫田ゆかりによるコミカライズ版も制作されている。

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