映画忘備録

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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡):過剰な演出が印象的なブラックコメディだが誰に向けて作っているのか良く分からない

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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(原題:Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance)は、「バベル」「21グラム」などのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、マイケル・キートン主演による第87回アカデミー賞で作品賞をふくむ4部門で受賞した作品である。

その内容についてだが、前作の「バベル*1」同様に非常に説明がしにくいし、どういうジャンルの映画なのかといわれても回答に困る感じの作品でもある。

またこれは「バベル」でも感じたことなのだが、どちらの作品も誰に向けて作ってるのか良く分からない感じの映画だ。

特徴がありすぎる演出方法

本作「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の最大の特徴は、119分の作品なのにもかかわらず、ほとんどシーンが途切れることのないワンカットの長回しで撮影されている”風”になっていること。

長回しというと近年だと「ゼロ・グラビティ」の冒頭の長回しが印象に残るところだが、実は本作で撮影監督をしているエマニュエル・ルベツキは、まさに「ゼロ・グラビティ」でも撮影監督をしていて、いずれの作品でもアカデミー撮影賞を受賞している。

心しておかないといけないのは、そういう特殊な撮影方法を採用しているため、画面が結構フラフラするシーンが連続するのでそういった主観映像が苦手な人は注意されたい。

ちなみにワンカット長回し風と言っても、実際は3日間前後の出来事なのであからさまになんとかしてカットを繋いでおり、突然時系列が飛んだとしてもワンカットになってるという、かなり作為感が強い撮影方法でもある。

またやたら俳優に寄った画が多いというか、ほとんどがそうなのでかなりの圧迫感がある。

さらには音楽というものが基本的には存在せず、時折挿入されるドラムの音だけがBGMといえるが、これがまた異常に速度が速くて緊迫感のある上に音量が異常にデカイ。

過剰、とにかく全てが過剰

これらの特徴から初見時に感じたのは「いい映画だとは思うけど、とにかく過剰な映画だな・・・」ということで、情報量の多い画面もやたらと早くてデカイ音楽も大量のメタ情報*2も過剰なのだが、なぜか鑑賞後に初期の北野映画を観た後に近い印象を感じた。

北野映画というと静謐かつ説明的なシーンを排除したミニマルな作風が特徴なので、過剰さとは真逆の演出法なのだが、北野映画と真逆の演出を意図的にやっているというだけで本質的には近いんじゃないのかなと。

映画ファンなら観るべき価値のある作品 

ただ間違いなく万人が見て面白いというような映画では無いのだが、様々な実験的な手法と丁寧な演出がなされている作品なので、面白い面白く無いは別にしても映画ファンなら観るべき価値のある作品だと思う。

ちなみに前述の通り演出過剰な映画なので、シネコンなどの大画面大音響の環境じゃなくて、ミニシアター系とか独立系の映画館で観たほうがいいかもしれない。

*1:本当は2010年の「BIUTIFUL ビューティフル」が前作なのだが未見なので

*2:ライアン・ゴズリングは確かに適役だ

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