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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

サード・パーソン:脚本の才能がありすぎることによる弊害が

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監督・脚本「ポール・ハギス

「サード・パーソン」の監督ポール・ハギスは、元々アメリカでドラマのプロデュースや監督・脚本を手がけていた人物*1で、映画ではクリント・イーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本などで有名*2だが、それのみならず自身による監督・脚本の「クラッシュ」でも第78回アカデミー賞・作品賞を受賞するなど、ありあまる才能の持ち主。

が、その「クラッシュ」以降は脚本などで映画に関わることはあるものの、ポール・ハギス監督作品は制作されず、本作「サード・パーソン」が久しぶりの監督・脚本作品となる。

「クラッシュ」も名作であるため、この「サード・パーソン」に対する期待度は正直それなりに高い。

主演は「96時間」のリーアム・ニーソン

主演のリーアム・ニーソンは、元々演技派俳優*3なのに「96時間」のヒットで完全に「エクスペンダブルズ」にいつ参加してもおかしくない立場に。

本作「サード・パーソン」ではスランプ中のベテラン小説家を演じていて、当然ながらアクションはないものの、なんとなく突然ベッドの下から諜報セットを取り出したりしないか、緊張しながら映画を観てしまう。

ネタバレを先にかまされるが逆にOKという罠

実は今回「サード・パーソン」は、壮大なネタバレがある作品なのだが、どんな映画か調べていたら先にネタバレをかまされるという罠にはまった。

しかしながら普通に観てるとよくわからないエンディングで、これにより評価が一変するため、実はネタバレされてて結果良かったという珍しい映画だった。

「クラッシュ」に酷似した構成

この映画を説明しろと言われると凄い難しい内容なのだが、NY・ローマ・パリで進行する3組の男女の物語を同時進行で描いていくという内容で、見た感じ凄い「クラッシュ」に酷似した構成の映画。

この3組の男女はそれぞれ何の関係もないのだが、全員が”子供に関する問題”を抱えているという共通点を持っていて、子供を事故で亡くしていたり*4、子供が売り飛ばされそうになってたり*5、離婚した結果子供と接見禁止になってたりしている。

そこでそれぞれ、何とかして子供に会おうとしたり、子供を取り戻そうとしたり、子供を亡くした事故を後悔したりしながらストーリーは進行していく。

しかしストーリーが進行していくと、パリに泊まっているはずの小説家マイケルの部屋にNYのホテルで働いているはずのジュリアが清掃にくるなど、明らかにおかしなことが起こりはじめ、ここから意外なエンディングを迎える。

この意外なエンディングだが、映画館を出た時に観客の多くが「え、あれはどういうこと?全然わかんない」みたいな会話が頻発していた、実際そういう映画だと思ってなかったので、唐突な感じが強いエンディングである。

以下ネタバレ

自分はネタバレを先にされてても問題なかったし、実際に初見の人が意味がわからないとおもうのもしょうがない描かれ方である上、それにより評価が一変してしまう内容であるので、あえてネタバレしておく。

実は、この映画はリーアム・ニーソン演じる小説家のマイケルがパリのホテルで製作中の小説なのだ、従って「サード・パーソン」登場人物で実在するのは、小説家のマイケルとその妻だけで、それ以外は全て架空の人物、架空の物語になっている。

そのため位置関係がおかしくなっているのだが、これは小説家の創作の過程を映像化したもの*6で現実ではないので、登場人物は最後に消えてしまう。

「サード・パーソン」の感想

ポール・ハギスは「サード・パーソン」の脚本を書くのに2年を要し*7、とにかく完璧な脚本を求めて内容を練りに練ったらしいが 、これはちょっと技巧に走り過ぎではなかろうか?

こういう映画が好きな人もいるだろうから、評価がかなり分かれる作品ではあるものの、「実は全部嘘でした」みたいなことをエンディングでやられてしまうと、今まで観てたのは何なんだと思ってしまうし、何より別にそういうオチでなくても上手いこと収められる内容であるように思う。

相変わらず作りはソツがなくて、こういった群像劇としては凄く上手く処理できてるし、画作りもカッコイイのに、脚本の内容そのものではなくて構成の巧みさとか技巧で観客を感心させようとするのは、本末転倒になっているのではないかと感じた。

 

映画『サード・パーソン』公式サイト

*1:あのチャック・ノリスの「炎のテキサス・レンジャー」にも関わっている!

*2:他に脚本を手がけた作品としては「007カジノロワイヤル」「硫黄島からの手紙」「告発のとき」など

*3:第53回ベネチア国際映画祭で男優賞も受賞している

*4:そのため娘が誘拐される恐れはない

*5:もちろん、リーアム・ニーソンの子供ではない

*6:マイケルがそれだけ子供を失ったことを気にかけているから、こういう内容になってるのだと思われる

*7:ちなみに「クラッシュ」は2週間というあたりもこの疑問を抱かせる原因である

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