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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

十三人の刺客:最近の邦画はつまらないという人が見ていない率ナンバーワン映画

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かっての大作娯楽時代劇に対する完璧なるリメイクの形

十三人の刺客」は1963年に公開された同名映画のリメイク、まさか2010年にリメイクされた本作と間違えるとは思えないが、レンタルする時に間違えると「山田孝之クンが出てない!」とかそれ以前にそもそもカラーですらないし、出てくるのは「片岡千恵蔵」なのでご注意を。

時代劇は既に滅んでしまった…

説明するまでもないが日本において時代劇は花形ジャンルだった、しかしその人気が凋落して久しく、かっては大量生産できる体制が確立されていた時代劇だが、現在ではその環境は完全に失われてしまっている。

例えば、これは三池崇史監督がインタビューで明かしたことだが、本作「十三人の刺客」で使っているような馬がまず調達出来なくなっている。

本作でドコドコ走っている馬は今回の撮影のためにスタッフが日本中を探し回って*1やっと見つけてきた馬で、かってのように頼めばすぐ用意できる状態ではなく、馬がないということは役者も乗れないし、セットも馬が走れるようには出来てない。

そんなノウハウが既に絶たれているという状態で、ゼロから全てを構築しなければならなかったそうだが、何より素晴らしいのは、今回の「十三人の刺客」を観ても”とてもそんな環境で作られた物だとは思えない”ということだ。

十三人の刺客」をリメイクするメリット

十三人の刺客」の三池崇史監督は、あらゆる映画を大量に撮っている監督で、ありとあらゆるジャンルの映画を撮っており、結構な無理難題を毎回突きつけられて尋常じゃない制限の中で映画作りをしているのだが、今回は比較的その制限が緩和された状態であったようだ。

大予算がかけられている*2ということもそうだが、名作のリメイクであるために無駄な恋愛要素をいれるなど*3内容に対する制限があまりない状態であることが確実にプラスに働いており、諧謔的な事実ではあるものの、2010年に過去の大作時代劇をリメイクするという意味がそれだけでも生じている。

俳優・配役が”大体”いい!

毎回、映画に出ると必ずいい感じの存在感を出す山田孝之や、時代劇俳優である松方弘樹はともかくとして、野生児?役の伊勢谷友介が今までにない感じの役柄ながらも凄く良いし、剣豪役の伊原剛志も素晴らしく良い。

他にも敵役の市村正親や、ちょっとしか出番がないけど松本幸四郎も風格があってよし、それよりなにより稲垣五郎演じる暴君が最高で確実に一人で映画のクオリティを上げてるレベルで、近年にないゾクゾクするナイス悪役!

一方、ちょっとだけ気になるのが主役の役所広司で、そこまでケチつけることもないとは思うが、時代劇なのにいつもの演技でなにか現代的というか完全に「役所広司」に見えてしまうのが、小さな欠点ではある。

ラスト50分の死闘!

今回の「十三人の刺客」に対して抱く不満のひとつとして、人数が13人もいるので”主要な5~6人以外はあまり出番もなく存在感が薄い”という欠点が上げられることが多い。

それは確かにそうなのだがさすがにそれは完璧さを求めすぎで、じゃあ詳しく描写できないんだから人数を削ろう!となると、この内容で仲間が5~6人ではリアリティが完全に破綻するし、逆に2時間強で13人全員に触れるのはいくらなんでも無理がある。

ちなみにオリジナル版よりはこれでも各キャラクターが立ってる方なので、そこに関してはそれほどの不満は感じなかった。

また「ラスト50分の死闘!」という2秒で違和感を感じさせるキャッチコピーが冠せられた決戦のシーンは、はじまった瞬間から既に最高という恐ろしさだが、50分の長さを飽きさせずに多数の戦闘パートを緊張感を持って繋いでおり、まったくダレることなく観ることができる。

いろんな奇跡が起こっている映画

結論としては、大作時代劇を真正面からリメイクした傑作で*4、脚本から俳優から配役から大規模なセットから、見せ方からあらゆる要素がハイレベルな異常な完成度で何かの奇跡が起きてるとしか思えない。

この「十三人の刺客」は、確かに内容は王道なのだが、近年の日本映画で大予算をかけたアクション映画で成功した例というのはちょっと思いつかないし、ましてやそれが既に作るのが難しい集団抗争時代劇で、さらに過去の名作のリメイクというのは、内容は王道でも過去の実績を見る限りは、かなり成功を収めるのが難しい要素が並んでいる、そもそも王道とは作るのが難しいのだ。

その全てを逃げることなく真正面から乗り越えたこの「十三人の刺客」は、「最近の邦画っておもしろくないよね」と、思う人にこそ見てほしい、そして邦画に対する認識を改めてほしい傑作である。

十三人の刺客<Blu-ray>通常版

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*1:震災の被害にあった福島県相馬市の馬らしい

*2:制作費、約20億円

*3:いや必要だ!と思う人は「隠し砦の三悪人」のリメイクを観るのがいいと思います

*4:さすがにエンディングのシーンは疑問を感じざるを得ないが・・・

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