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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

真夏の方程式:異常にカッコいい画面とやたら問題があるストーリーの邂逅

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真夏の方程式」は、東野圭吾原作、福山雅治主演のテレビドラマ「ガリレオ」の劇場用作品で「容疑者Xの献身」に続く第2作目、なぜか劇場版の「ガリレオ」は主人公の福山雅治の出番があんまり無くて、それほど活躍しないという特徴がある。

撮影「柳島克己」 について

本作「真夏の方程式」の撮影は「柳島克己」が担当しているが、この人は様々なドラマや映画のカメラマンをしている人物で、「3-4X10月*1」から北野映画で撮影を担当しており、当然ながら「あの夏、いちばん静かな海」「ソナチネ」といった映像が特徴的な作品にも携わっている。

おお「北野映画」っぽい! 

そのためか「真夏の方程式」の画面は、異常に北野映画に近い画作りになっており、とにかく画面が画期的にカッコいい。

真夏の方程式」の舞台は地方の港町で海などの風景は美しいものの、それ以外の場面は特徴のない旅館であったり、特徴のない田舎町であったりと無個性で平凡な感じな場所が舞台であるため、これは基本的に良い方向に作用していると思う。

が、一方でヴィジュアルが北野映画に近すぎるので、どうしても北野映画と無意識に比較してしまうという欠点もある。

個人的には人物が動かなければかなり北野映画に近い映像になっているのに、人物が北野映画と比較して変に細かく動いて北野映画エッセンスを破壊してくれるため無意味に気になる。*2

登場人物が完全にどうにかしている

前述の通り「真夏の方程式」は、とにかく画面が卑怯なほどカッコいいのだが、ストーリーには結構な問題があって、殺害トリックが良く分からないと言うか、無駄に複雑な殺し方をするなあという印象で、動機も異常に弱い。

容赦なくネタバレしていくと本作の殺害手法は、

被害者に睡眠薬を飲ませ部屋に放置、その後、全力でボイラーを焚いた状態で煙突にフタをして一酸化炭素中毒で殺害、さらにその後、死体を外へ運んで海岸に投げ捨てて放置

 これで”被害者は酔って足を踏み外して岩場に落下した”と偽装したつもりらしいのだが、初見時から「なんでワザワザ苦労して死体を捨てるの?」というのが疑問だった、いや”そんな事故起こしたら悪評がたって旅館の経営に影響する”っていうのも分かるけど、これはでも突発的な行為じゃなくて計画的犯行でしょ?だったらそもそもこんな計画立てるなよって話なんで。

この方法なら”ボイラーの計器が故障してたことによる事故死”とかにした方が自然かつ安全じゃなかろうか?少なくともボイラーを利用して凝った殺害方法を採用した意味はあまりないように感じる。

動機も完全にどうにかしている

また殺害動機が、過去に犯した殺人事件を担当していた刑事が旅館に泊まりにきたので、事件の真相がバレるかも!というものなのだが、別に刑事が具体的に過去の事件を調査してる様子だとか、過去の事件をネタに脅迫してきた・・・

とかいうこともないので、本当に「そうなのかも知れない」レベルの疑いで殺害してしまっていて、客観的には完全に過剰反応で、短絡的で自己中心的な人達にしか見えない。

しかもその殺害に全く無関係な少年を関わらせたりしているため、この家族はマジで”自分の家族に危害が及ぶかもしれない”程度のことで騒ぎ立て、それを回避するためには他人は犠牲にしても全然OKという、映画内の描写だけ見るとそういうサイコパス的な人達だとしか思えない。

とはいえなんとかなってる 

さて本作「真夏の方程式」はストーリーに問題があり、確かにそれは巨大な欠点ではあるのだが、実はその部分以外はむしろ良い部分の方が多い作品でもある。

特に前作「容疑者Xの献身」で明らかな違和感を放っていた主人公の福山雅治が、今回は映画に馴染んでるのが大きくて、やはり湯川と少年との交流があって、そして少年がちょっとだけ成長したあの夏・・・みたいな展開は映画っぽくていいし、同時に子供嫌いだった湯川のちょっとした成長も描かれる。

とにかく、このストーリーと最後以外は大して盛り上がる場面もない展開の平坦さに我慢ならない人も多いとは思うが、撮影と演出が全力でそれをカバーしにいってなんとかなったという珍しい作品であり、しつこいようだが画面はカッコいいので、凡百のテレビ映画とは一線を画す作品となっているのは確かだと思う。

 

*1:1990年製作の北野武監督による2作目の映画、ちなみにタイトルは「サンタイヨンエックスジュウガツ」と読む

*2:逆に言うと北野映画ってあんまり人物は細かく動いてないんだな・・・という発見があった

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