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映画忘備録

映画を見た感想を、ひたすらメモっていくブログです。

レスラー:生きる場所を失った男の生き様を描く男の映画

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プロレスのリングの上でしか生きられなかった男の生き様を描く、第65回ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作

監督「ダーレン・アロノフスキー

確実に名前が覚えにくい本作「レスラー」の監督ダーレン・アロノフスキーだが、この「レスラー」以前には「レクイエム・フォー・ドリーム」とか「ファウンテン永遠に続く愛」とか、映像作家系というかアート系の作品を手がけていた監督。

で、どう考えても「レスラー」のような作品を撮る監督とは思われてなかったんだけれども、実は本人の中では10年以上温めていたアイデアだったらしい。

ランディ・ラムはミッキー・ロークなのか

主演のミッキー・ロークは、元々80年代に数々の映画*1に出演していて、当時はいわゆるセクシー俳優という扱いだったんだけれども、なぜか本気でボクシングをはじめてしまい*2、その結果、当然ながら顔を激しく強打されてしまうことになる。

ボクサー時代の怪我の治療のため整形手術*3をしたものの、もはやかってのセクシー俳優の面影は全く無く、「レスラー」公開当時は誰も本人だと分からない状態になっており、往年を知る人間にとっては痛々しい姿ですらあった。

そのミッキー・ロークの本格的な俳優復帰作となった*4のがこの「レスラー」で、役柄は80年代にスターだったが今は忘れ去られ、落ちぶれてドサ周りとアルバイトをしてなんとか生計を立てているというプロレスラー「ランディ・ラム」という、まるでミッキー・ローク本人のような役柄で、映画がドキュメンタリータッチで撮られていることもあって凄まじいリアリティを放っている。*5

原作「ビヨンド・ザ・マット

ダーレン・アロノフスキー監督は10年この企画を温存していたらしいが、熱烈なプロレスファンでもない限り、唐突にプロレスの裏側まで描いたこんな企画を思いつくわけもなく、一応ベースとなったらしい”原作”が存在する。

それがアメリカの実在のプロレス団体WWFの裏側を暴露したドキュメンタリー「ビヨンド・ザ・マット」で、そこに登場しているレスラー「ジェイク "ザ・スネーク" ロバーツ」*6が、「レスラー」の「ランディ・ラム」のモデルだと言われている、この作品は本当にドキュメンタリーなので「レスラー」よりも暗くて救いがないが、こちらもオススメ。

現実に適応できなかった男が最後にやっと見つけた行き場所 

映画「レスラー」の特徴として題材がプロレスだということがある。

これが非常に重要で、プロレスというのはある種幻想の世界で、観客に楽しんでもらうために行われるショーでありエンターティメントでありスポーツでも格闘技でもない、つまり勝ち負けは最初から決まってるし、どうでもいいことなのである。

従って命を賭けてプロレスをしたところで誰も褒めてはくれないし、本来そこまでやるべきことではない。

にも関わらずその世界にしか生きられず、病に体を蝕まれた状態で次に試合をすれば確実に命を落とすという状況でも、プロレスのリングがランディ・ラムにとっては、人生最高の見せ場であり栄光であるため、そこに身を投じざるを得ないという悲哀には涙せざるを得ない。

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*1:「ナインハーフ」「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」など

*2:俳優のくせにガードのゆるいボクシングスタイルであったそうだ

*3:本人曰く、整形手術は失敗したとのこと

*4:シン・シティ」とか出てるけどね

*5:当初はニコラス・ケイジが予定されていたが、それだとどうなっていたことか…

*6:DDTの開発者として有名らしい

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